Keyaki Beer Festival

BEER STYLES / ビールのスタイルと豆知識

ビールのスタイル

  • ピルスナー/ライトカラーラガー

    ピルスナー/ライトカラーラガー

    「ビール」と聞くと思い起こす“スタンダード”なビール。スッキリとした飲み口と切れの良いホップの苦味が特徴。国内大手ビールメーカーの多くはジャーマンスタイルでドライな仕上がりだが、チェコスタイルはモルトの甘味が感じられる。アルコール度数は5%前後。

  • ウエストコーストラガー

    ウエストコーストラガー

    アメリカ産ホップを大量に使ったラガービール。クリーンでライトな飲み口にホップ由来のふんだんな香りと苦味を持つ。香りはシトラスや松脂のような、アメリカ産ホップの特徴を携える。「ウエストコーストIPAのラガー版」にも例えられる。

  • ペールエール/ゴールデンエール

    ペールエール/ゴールデンエール

    「ペールエール」は明るい銅色のビールで、酵母由来のフルーティな香りとホップの苦味、香りが特徴。イギリス産のホップを使用したイングリッシュスタイルと、アメリカ産ホップを使用したアメリカンスタイルに分けられる。「ゴールデンエール」は「ブロンドエール」とも呼ばれ、その名の通り黄金色の液体。ペールエールに比べるとホップの香りは控えめで、モルトの甘味は穏やか。アメリカ産ホップと酵母を使う「アメリカン・ゴールデンエール」、ベルギー産酵母を使った「ベルジャンゴールデンエール」などがある。

  • ホワイトビール/ヴァイツェン

    ホワイトビール/ヴァイツェン

    「ホワイトビール」はベルギー発祥で、醸造過程で大麦麦芽に加えて小麦やオレンジピール、コリアンダーを加えている。近年はインスパイア系として他の柑橘の皮を使ったビールも多い。「ヴァイツェン」は南ドイツ発祥で、小麦麦芽を50%以上使ったビール。ヴァイツェン酵母の働きで、バナナやクローブなどの甘い香りが特徴。いずれのビールも液体の色は明るく霞がかっており、苦味はかなり穏やか。

  • ケルシュ

    ケルシュ

    ケルン発祥のビアスタイル。薄い黄金色で見た目はピルスナーのようだが苦味やホップの香りは控えめで、白ワインや青リンゴを思わせるようなフルーティーな香りが特徴。エール酵母を使いながらも低温で発酵させるハイブリットスタイルで、スッキリした飲み口だ。

  • サワービール/ランビック/ベルリーナヴァイセ/ゴーゼ/サワーIPA

    サワービール/ランビック/ベルリーナヴァイセ/ゴーゼ/サワーIPA

    「サワービール(サワーエール)」は、乳酸菌や野生酵母を用いて発酵させた酸味の強いビールの総称。伝統的なビアスタイルには、ベルギーの野生酵母を使った、ドライで極めて強い酸味の「ランビック」、ドイツで生まれた「ベルリーナヴァイセ」、「ゴーゼ」などがある。ベルリーナヴァイセは麦芽と小麦を使い、酵母と乳酸菌を用いた低アルコールのサワー。ゴーゼは乳酸菌発酵および原材料に食塩やコリアンダーを使っているのが大きな特徴。「サワーIPA」は、アメリカ発祥で、乳酸菌や、乳酸を醸す特殊な酵母などを用いた上で、ホップをふんだんに使ったビール。爽やかな酸味と苦味、様々なホップの香りが複雑に絡み合い飲みごたえのある一杯だ。

  • フルーツビール

    フルーツビール

    醸造過程でフルーツを使ったビールの総称。ラガー、エール、ホワイトビール、サワー、樽熟成ビールなど、多くのスタイルで用いられる。使用するフルーツの果肉やジュース、ピューレなどを、糖化時、煮沸時、一次発酵時または二次発酵時に使用することで、香りや甘味などの特徴が加えられる。

  • アルコール度数が低めのビール/ローアルコールビール

    アルコール度数が低めのビール/ローアルコールビール

    ビール祭りでは、アルコール度数4%未満を「アルコール度数が低めのビール」として紹介する。酒税法上で「ノンアルコールビール」を銘打つビールテイスト飲料はアルコール度数が1%以下だが、完全にアルコールフリー(アルコール度数0.00%)のビールテイスト飲料との混同を避けるため、ビール祭りでは「ローアルコールビール」として扱う。

  • ノンアルコールビール

    ノンアルコールビール

    酒税法上で「ノンアルコールビール」を銘打つビールテイスト飲料はアルコール度数が1%未満だが、微量でもアルコールを含んだビールテイスト飲料との混同を避けるため、ビール祭りではアルコール度数0.00%のみを「ノンアルコールビール」として扱う。

  • ダークカラーラガー

    ダークカラーラガー

    ドライなテイストを持つラガー酵母と、焙煎した麦芽や麦を使ったビールの総称。「黒」という意味を持つ、液体が真っ黒の「シュヴァルツ」、液体の色が濃く麦芽の甘味をしっかり感じられる「ドゥンケル」、燻製した麦芽による燻製香が特徴の「ラオホ」、透明で濃い褐色の液体を持ち、苦味や焙煎感の少ない「ダークアメリカン ラガー」などがある。

  • ヘイジーIPA

    ヘイジーIPA

    名前の通り霞がかった液体で、主にトロピカルフルーツやシトラス、フローラルなホップの香りが豊か。ホップを大量に使用しているが、苦味は穏やかだ。液体に白濁を与えるために小麦やオーツ麦などを使用することが多く、口当たりが柔らかでジューシーな印象を与える。

  • ウィンナラガー/メルツェン/ボック

    ウィンナラガー/メルツェン/ボック

    「ウィンナラガー」は、19世紀にウィーンで生まれたラガースタイルのビール。キャラメル風味の薄く焦げ色が付いたウィンナーモルトを使い、赤みがかった液体の色とトーストのような香ばしさを持つ。
    「メルツェン」は、ディープゴールドから褐色の液体色で、しっかりとしたボディが特徴。「オクトーバーフェスト」という銘柄で提供されることもあり、やや高めのアルコール度数。「ボック」は、淡色から真っ黒まで様々。ハイアルコールビールならではのドッシリとした飲み口が特徴。

  • セゾン/ファームハウスエール

    セゾン/ファームハウスエール

    「セゾン」の発祥は、ベルギー南部の農家が夏の繁忙期に飲むのを目的とし、農閑期である冬に仕込んで造っていたビール。長期保存のために多く使われるホップの芳醇な香り、フルーティさ、スパイスやハーブのニュアンス、軽い酸味など、清涼感のある飲み口が多い。世界各地で独自の解釈を持つセゾンがつくられるようになった昨今、ベルギー以外でつくられるセゾンビールを「ファームハウスエール」と呼ぶケースも多く見られる。

  • ベルジャンスタイルビール

    ベルジャンスタイルビール

    ベルギー発祥のビアスタイルや、ベルギーを起源とする酵母を使ったビールの総称。酵母の種類や発酵温度によって、ダークフルーツのようなフルーティな香りやスパイシーさが顔をのぞかせる。修道院でつくられる「トラピスト」、淡色で非常にアルコール度数の高い「トリプル」などがある。一般にベルギー酵母はフルーティーでスパイシーな個性的な香りを醸すものが多い。

  • アンバーエール

    アンバーエール

    「アンバーエール」はアメリカ、「アルト」はドイツ発祥のビール。どちらのビールも液体は銅色から琥珀色で、カラメルモルト由来の深いコクや酵母の作りだすフルーティな香りが特徴。アンバーエールはアメリカ産のホップを使用し、しっかりした苦味とコクがある。アルトには欧州産のホップを使用し、苦味は比較的穏やかで飲み口はシャープ。

  • スタウト/ポーター

    スタウト/ポーター

    液体の色は濃いブラウンから真っ黒までと色が濃く、おおむね豊かなコクがあるエールビール。「ポーター」は焙煎した麦芽を使用しているためロースト香や酸味が感じられ、エールならではのフルーティさも兼ね備えている。ポーターから進化させ、焙煎した大麦を使っているのが「スタウト」。スッキリとした味わいの「ドライスタウト」や、アルコール度数、苦味、甘味を強化した「インペリアルスタウト」などの派生スタイルもある。

  • IPA/WIPA

    IPA/WIPA

    「IPA」はインディアペールエール(India Pale Ale)の略で、イギリスからインドへ輸出する長い航路と赤道直下の熱に耐えるために、アルコール度数を高めてホップを大量に使ったペールエールが発祥。ホップが醸す豊かな香りと強い苦味が特徴。「WIPA」はIPAから進化したスタイルで、IPAよりもさらにアルコール度数、苦味、甘味、香りが強化されている。使うホップによってイングリッシュスタイルとアメリカンスタイルに分けられる。

  • ウエストコーストIPA

    ウエストコーストIPA

    IPAの中でも、とりわけ北米産ホップを大量に使ったビール。モルトの甘味、ホップの豊かな香りと苦味、高めのアルコール度数という特徴を持つIPAの中で、とりわけトロピカルフルーツや柑橘、松脂など、北米産ホップの特徴を携えたビールとしてカテゴライズされている。

  • バーレイワイン/オールドエール

    バーレイワイン/オールドエール

    大麦(バーレイ)からつくられたワインのように濃厚なビール。数ヶ月以上をかけた超長期熟成でつくられており、アルコール度数10%以上とワイン並みのハイアルコールなのが特徴。濃厚なボディとドライフルーツを思わせるような香りとを楽しみながら、時間をかけじっくり飲むビアスタイル。使用するホップによってイングリッシュスタイルとアメリカンスタイルに分けられる。

  • 樽熟成ビール

    樽熟成ビール

    木樽にベースとなるビールを入れてエイジングを施したもの。新しい樽や、シェリー酒、ラム酒、バーボンウィスキー、スコッチウィスキー、ポートワイン、ワイン、テキーラなどの古樽を使用することもある。使用する樽によってバニラや木の香り、古樽に付着していた菌や微生物によって複雑な香りや酸味を醸すものもある。色やアルコール度数はベースとなるビールによって異なる。

  • スムージーエール/スムージーサワーエール

    スムージーエール/スムージーサワーエール

    「スムージーエール」は、フルーツや野菜をミックスしたスムージーのような液体を持つビールの総称。液体は極めて濃くトロトロで、乳酸菌やフルーツの酸味を特徴とした「スムージーサワーエール」が多い。麦芽の他に、大量のフルーツピューレや果肉、果汁などを使用。日本では酒粕を用いるブルワリーも。ソフトクリームやココナッツクリーム、バニラ、シナモンなどで風味づけすることも多い。

  • スペシャリティビール/その他のスタイル

    スペシャリティビール/その他のスタイル

    「スペシャリティビール」は、既存のビアスタイルにとらわれない、自由な発想で作られたビール。伝統的かつ既存の醸造法や、原材料の組み合わせにとらわれていないため、ブルワリーの個性が現れやすい。

ビールの豆知識

「クラフトビール」とはなんですか。
日本においては、クラフトビールに酒税法上の定義は存在しておらず、小規模ブルワリーによってつくられる個性的なビールのことを指します。
「全国地ビール醸造者協議会(JBA)」では、クラフトビールを以下のように定めています。

①酒税法改正(1994年4月)以前から造られている大資本の大量生産のビールからは独立したビール造りを行っている。
②1回の仕込単位(麦汁の製造量)が20キロリットル以下の小規模な仕込みで行い、ブルワー(醸造者)が目の届く製造を行っている。
③伝統的な製法で製造しているか、あるいは地域の特産品などを原料とした個性あふれるビールを製造している。そして地域に根付いている。「クラフト」という言葉には「職人が丁寧に造り上げたビール」という意味合いが含まれている
ビールと発泡酒の違いは?
「ビール」と「発泡酒」は、麦芽比率と副原料の内容・使用量の違いにより、酒税法で区分されています。

ビールの定義は、「麦芽比率50%以上」「副原料の重量の合計が、使用麦芽の重量の5%の範囲内」。ただしビールで使える「副原料」は、以下を厳格に定めています。
「麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、デンプン、糖類、または苦味料もしくは着色料」と「果実・果汁や香味料」です。

それに対して「発泡酒」は、「麦芽比率50%未満」「麦芽比率50%以上であってもビールに使える原料以外の原料を使用したもの」「麦芽比率50%以上であっても規定量を超えて副原料を使用したもの」(蒸留酒等を原料に含むもの以外)を指している点が、ビールとの大きな違いです。
「エール」と「ラガー」は何が違うのですか。
大別して、「エール酵母」で醸造したビールの総称が「エール」、「ラガー酵母」で醸造したビールの総称が「ラガー」です。一般的にエールビールはフルーティな香りを持ち個性的な味わいのビールで、ラガービールは低温で爽快さを楽しむタイプのビールでスッキリした口当たりが特徴です。

エール酵母は麦汁の液面に浮かび発酵するため「上面発酵酵母」とも呼ばれます。発酵に最適な温度は15〜20度前後、期間は3、4日です。ラガー酵母は醸造タンクの下面で発酵するため「下面発酵酵母」とも呼ばれます。発酵に最適な温度は5〜10度、期間は7〜10日間程度です。
大手ビールメーカーとクラフトビールメーカーがつくるビールは何が違うのですか。
基本的なビールの醸造工程そのものは、原則的に大手ビールメーカーもクラフトビールブルワリーに違いはありません。格段に異なるのは、仕込み量、貯蔵量、それに伴う流通量です。

大手ビールメーカーは、一度でおよそ100キロリットル以上の仕込み釜を使用します。クラフトビールブルワリーは最小数百リットルという少量生産を行うために販売数も少なく、個性的なビールづくりがしやすい環境です。それに対して大手ビールメーカーは一度の仕込みで大量のビールが出来上がるため、飲み手に受け入れられる商品開発が求められます。
ビール祭り会場でよく見るビールの銘柄に書かれた「DDH」とはなんですか?
「DDH」は「Double Dry Hopping」(ダブルドライホップ)」の略称です。発酵中のビールにホップを漬け込むことでホップが持つ香りの特徴を引き出す手法のことを指します。

ホップは苦味・香り付けなどの役割を持ちますが、ホップは煮出すことで苦味が色濃く反映される反面、香りの成分は揮発性のために消えてしまいます。そこで、ホップの香りをビールに移すために考案されたのが「ドライホップ」です。

DDHは、発酵中の液体に一種類目のホップを、数日後に再度、別の種類のホップを投入する、ドライホップの発展型です。DDHを謳うビールは「ホップの香りが豊か」であることに注目してみてください。
ビールにはなぜ様々な色や香りがあるのですか?
ビールの原材料は、麦芽、ホップ、酵母、水の4つです。主に麦芽はビールの色合い、香り、味わい(ボディの強弱)、ホップは香りと苦味、酵母は香りや味わい(主に酸味)、水は主に口当たりやミネラル感に変化をもたらします。

たとえば麦芽ひとつとっても、色の薄いものから黒く焦がしたものまで様々な種類が存在します。ホップに至っては商用で使われているものだけでも数百種類。4つの原材料を組み合わせるだけでも数え切れないほどの組み合わせ方があり、さらには副原料としてフルーツや野菜、スパイスなども加えられます。まさに尽きることのない無限大の組み合わせが可能=新しい可能性を秘める飲み物なのです。
IBU(アイビーユー)とはなんですか?
IBUは国際苦味単位「International Bitterness Units」 の略称です。ビールの苦味はホップによってもたらされ、その数値はホップの使用量・ホップの煮込み時間・使用ホップのアルファ酸含有量に左右されます。目安として、日本の大手ビールのIBUは20前後です。
「コラボビール」とは、どんなことをコラボしているのですか?
「コラボビール」には、異なるブルワリーや異なる業種が醸造プロセスやコンセプトの考案などを共同で行う、いずれかのブルワリーが考案したレシピでコラボ相手が醸造・仕込みに参加するなど、様々なケースがあります。

カルチャーの違いから来る斬新なアイデアが行き交うことで、クラフトビールの新たな可能性が拓けることも少なくありません。ビールファンにとっても愛着のあるブルワリー(同士)が手掛けた希少なビールとの出合いが生じる、刺激に満ちあふれる存在なのです。
ビールによって泡があるものとないものがあるのはなぜですか?
ビールは、麦芽に含まれるタンパク質、多糖類と、ホップの苦味成分などの働きにより、液体中の炭酸ガス(二酸化炭素)が表面に残るために「泡」が生じます。

麦芽と小麦麦芽のタンパク質が豊富なヴァイツェン、ホップをふんだんに使ったIPA、さらにオーツ麦なども使用するヘイジーIPAは泡立ち豊かなビールの代表格です。逆に、樽熟成ビールのように長期間熟成を要するビールは、液体の中の炭酸ガスが熟成中に減ることもあり、泡立ちにくくなります。
クラフトビールを瓶のまま、缶のまま飲んではいけませんか?
クラフトビールが持つ魅力を最大限に引き出すために「別の容器に注いで楽しむ」のがおすすめです。

クラフトビールの個性を司る大きな要素に、「色」と「香り」があります。たとえばビール祭りで提供される「飲み比べ」セットでは、同じビールでもまったく違う色合いが並び、ホップや酵母が醸す、柑橘系、熟したフルーツ、スパイスの香りなどが感じられます。

お土産ビールをグラスに注ぎながら泡の盛り上がりに気を配ったり、注ぐ最中から漂ってくる香りを楽しんだりするなど、ビールの魅力を余すところなく堪能してみてください。